日本国内でラインナップに加えていないメーカーは無いほど普及したハイブリッド車ですが、そのデメリットについては多く語られていません。
車に限らずどんな機械でもメリットとデメリットはありますよね。車も機械である以上、ハイブリッド車であっても万能ではありません。そこでこの記事では、
- ハイブリッド車のメリットとデメリット
- ハイブリッド車の寿命
について紹介したいと思います。いささかメカニカルなお話になるかも知れませんが、なるべく読みやすくまとめましたので、どうぞ最後までお付き合い下さい。
目次
ハイブリッド車とは!?
ハイブリッド車とは簡単に言えば2つ以上の動力源を持つ車のことを指します。
現在、市場に出回っているハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターを持っており、電力を回収するためのバッテリーも備えています。
ハイブリッドシステムはその機構により、
- シリーズ方式
- パラレル方式
- スプリット方式
の3種類に大別できます。
シリーズ方式
シリーズ方式(直列方式)は、エンジンを発電のみに使用してモーターで走行するタイプです。言わば、
『エンジンを発電用の動力源として搭載した電気自動車』
と言えます。実用例としては、日産自動車が『ノート』や『セレナ』に搭載している『e-POWER(イーパワー)』が上げられます。
パラレル方式
パラレル方式(並列方式)は、搭載している複数の動力源を車輪の駆動に使用する方式です。つまり、エンジンとモーターを両方使って車を走らせるわけです。
実用例はフェラーリ初のハイブリッド車となった『ラ・フェラーリ』や、スバルの『スバルXV HYBRID』などがあります。
スプリット方式
スプリット方式(動力分割方式)は前述の2つの方式と比べると複雑なシステムです。エンジンとモーターを状況に応じて使い分けながら車を走行させます。
実は世界初のハイブリッド量産車となったトヨタ自動車の『プリウス』や『プリウスα』がこのシステムを採用しています。
トヨタ・ハイブリッド・システム(THS)が実用例ですね。
ハイブリッド車の「メリット」と「デメリット」
ここからは本題であるハイブリッド車のメリットとデメリットについて見ていきましょう。ハイブリッド車のメリットは何なのか!?
また、あまり語られないデメリットとは何なのかを具体的にお話したいと思います。
ハイブリッド車の5つのメリット
ハイブリッド車の主なメリットとしては、
- 燃費が良い
- 環境に優しい
- 税制面で優遇されている
- 静粛性が高い
- リセールバリューが高い
など5つのメリットが挙げられます。では、順に紹介していきたいと思います。
1燃費が良い
ハイブリッド車の最大のメリットは燃費が良いことです。
例えば、「トヨタ・アクア」にはJCO8モードで38.0km/Lという驚異的な燃費のグレードがあります。1.5Lの車とは思えない数値です。
ガソリン代を大幅に節約することが出来ます。
2環境に優しい
ハイブリッド車は「エコカー」とも呼ばれます。
これは燃費が良いことで結果としてCo2の排出量も減らせるので、地球温暖化対策にも貢献できますね。
3税制面で優遇されている
ハイブリッド車は、
- 「エコカー減税」
- 「自動車グリーン税制」
と呼ばれる減税措置で優遇されています。トヨタ・プリウスの場合、
- 自動車重量税:22,500円
- 自動車取得税:67,300円
- 翌年度の自動車税:29,500円
で、合計119,300円の減税となります。通常のガソリン車でも「エコカー減税」を受けられますが、ハイブリッド車の方が減税率は高めに設定してあります。
4静粛性が高い
特にスプリット方式を採用しているトヨタ・プリウスなどは、スタート時はモーターで走り出しますから、静粛性が極めて高くなっています。
シリーズ方式を採用している日産・ノートなども、通常のガソリン車と比較すると静粛性は高いと言えます。
5リセールバリューが高い
これは3〜5年で車を買い換える人のメリットになります。
短期間で車を手放す場合は下取りに出すか買取業者に売却するわけですが、ハイブリッド車は人気があるので高く買い取られる傾向にあります。
ただし、下取りに出す場合は大きな差がつかない事もあるので、ハイブリッド車を手放す時は買取業者に売却するようにして下さい。
ハイブリット車の5つのデメリット
では次にハイブリッド車のデメリットですが、デメリットとして、
- 車の重量が増加する
- 環境負荷が増大する
- バッテリーの危険性
- 静粛性が高いため歩行者に気づかれにくい
- 価格が高い
などのデメリットが挙げられます。ではデメリットについても順に紹介していきたいと思います。
1車の重量が増加する
エンジンとモーター、そしてバッテリーからなる複雑なシステムを積むことになるので、通常のガソリン車よりも15〜20%車重が増加します。
車重の増加はタイヤや道路へ負荷をかけることを意味します。つまりハイブリッド車が増えると道路の痛みが早くなる可能性があるということです。
2環境負荷が増大する
ハイブリッド車はガゾリン車と比較すると部品点数が多いため、その製造時や廃棄時にはコストが余計にかかります。
つまり環境への負荷がガソリン車よりも大きいのです。
確かに燃費が良くCQ2は削減されますが、トータルで考えた場合、環境に与える悪影響はハイブリッド車の方が大なんです。
これを解決しないと真のエコカーとは呼べないかもしれませんね。
3バッテリーの危険性
通常の使用では問題なくとも、事故を起こした場合や車が水没してしまった場合などは、感電する危険性があります。
レスキュー時の専用マニュアルを公開しているメーカーもあるほどです。このため緊急時にはディーラーにも一報を入れる必要があります。
4静粛性が高いため歩行者に気づかれにくい
特に低速ではモーターで走行するタイプのハイブリッド車は歩行者に気づかれにくいというウィークポイントがあります。
静粛性の高さが裏目になった形ですが、実際に視覚障害者の方にとっては脅威になっているのも事実です。メーカーでも対策を進めていますが十分とは言えない状況です。
5価格が高い
メーカーや車種によって異なりますが、ガソリン車の同グレードと比較すると概ね40万円前後、ハイブリッド車の方が高くなります。
3〜5年で売却した場合はガソリン車よりも買取価格が高いので、この差額分を回収することが可能な場合もありますが、長く乗ってガソリン代で元を取ろうとすると15〜20年は乗らなければなりません。
ハイブリット車の実際の寿命はどれくらい!?
初代プリウスの頃はバッテリーやシステムの不具合などから、早々に燃費が悪化してしまうこともありましたが、現在のハイブリッド車には当てはまりません。
バッテリーについても劣化は無視してもいいくらいになっているので、ハイブリッド車の寿命は通常のガソリン車と変わらなくなっています。
その証拠の一つとしてタクシーにプリウスが使われている事が上げられますし、寿命の短い車がタクシーに採用されることはまずありません。
まとめ
今回はハイブリッド車のメリットとデメリットについて紹介しました。ハイブリッド車は年間の走行距離が長い人に向いている車です。
1年間の走行距離が5000キロ程度の人には、高い買い物となってしまうかもしれませんので、ハイブリッド車を検討している方は、自分の車の使い方について良く考えてみると良いかと思います。
あなたの車選びの参考になれば幸いです。